たびんちゅ。

【Day50】美人恐怖症

2018年5月30日
4カ国目:【アルメニアエレバン

見渡せば美人。
街を歩けば美人にぶつかる。

そんなアルメニアを早々に去り、俺は次の国ジョージアへ向かっていた。

おととい旧ナゴルノ=カラバフ、アルツァフ共和国で友達をたくさん作り、(とても小さい国なので1人友達ができるとネズミ講のようにどんどん増えていく)



世界一美人が多い国の一つ、アルメニアの首都エレバンへやってきた。



エレバンではもはや観光地並みの知名度をもつ有名日本人宿、「リダの家」に泊まった。
最近日本人が減ってるらしい。

シャワーもないし汚いので、当然といえば当然だが、リダ家の情報ノートは一見の価値がある。

ネット上に情報がなかった時から、幾多の旅人がここに情報を書き記してきた。



ちなみにこれは中西大輔さんのページ。
約11年もかけて自転車で世界を二周した人だ。

俺は中学生くらいの時にこの人の本を読んだことがある。
その頃の俺は

「いつか世界一周してみたいな〜」

くらいにしか思ってなかったのだが、
今こうして自分が世界一周して、泊まった宿の情報ノートにその著者が実際に書き込んでいる。

この感動は俺の拙い語彙力では書き表せられない。
1人ドミトリーのベッドの上で鳥肌が止まらなかった。

それからは、今までただただ汚いとしか思っていなかったハエだらけのトイレすら、歴史的な遺跡のように感じるようになった。
キモいか。

まあとにかくエレバン行く機会があったら、ぜひリダの家に泊まってほしい。



そんな素敵な宿もあり、さらに俺の大好物の美女がたくさんいるこの国をなぜこんなに早く去るのか。
その理由をみんなに説明するにはまず、知っておいてもらいたいことがある。


「美人恐怖症」
これは美人を目の前にすると正常な判断力を失い挙動不審になったり、その場から逃げ出したくなってしまう症状のことだ。


そう。実は俺は美人恐怖症を患っている。

俺の場合は、美人を目の前にすると体中の汗腺から汗が吹き出し、目を合わすだけで心臓が痛くなる。

美人を見かけるたびに自分を鼓舞し声をかけようと思ったのだが、
あんな美人の視界にこんなきったねえ自分が入っているかと思うと興奮して何も手につかなくなってしまうのだ。

昔から患っていたこの症状はアルメニアに入ってから酷くなった。
幸か不幸か美人が多すぎるからだ。

きっとみんなアルメニアの美女コレクションを楽しみにしてくれていたと思う。
非常に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


その埋め合わせと言ってはなんだが、アルメニアの素晴らしいおばあちゃん達を送る。



ステパナケルトで泊まった宿R&K HOSTELのカリーナ。
朝は必ずコーヒーを出してくれる。



エレバンにあるリダの家のリダ。
日本人大好きでとてもかわいらしい。



座ってたら逆ナンしてきたおばちゃん。
強制的に肩を組まされた。決してこちらから仕掛けたわけじゃない。
ちなみに” I love you”いただきました。

切実に若い女にモテたい...。


こうして美女大国アルメニアに別れを告げ、俺は次の国ジョージアへ向かった。


ウクライナに行くまでには必ず美人恐怖症を克服して、美女の写真をお届けします!
応援よろしくお願いします!


無数の美人のせいで精神疾患を患った俺は、情けなさを噛み締めてバスに揺られていた。




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【Day45】未承認国家

2018年5月25日
5カ国目:【アルツァフ共和国(旧ナゴルノ=カラバフ)】ステパナケート

未承認国家ナゴルノ=カラバフ。
音の響きも漢字もカッコいい。

現在は憲法改正により、アルツァフ共和国という名前になっているようだ。

初めてこの国のことを知った時から、絶対に訪れようと思っていた。

ここは未承認国家なので、ほとんどの国から国として認められていない。
認めているのは
アブハジア共和国、南オセチア共和国沿ドニエストル共和国の3カ国だけで、この3カ国もまた未承認国家である。

「未承認国家が未承認国家を承認しあっている...。」

傷の舐め合いだ。


だがしかし俺の旅人としての嗅覚が

「あそこからはシュールな匂いがプンプンだ。行こうぜ!」

と言っているのではるばるここへやって来たというわけだ。



ゴリスからバスに乗り、首都ステパナケートへやってきた。

アルメニアから来る時にイミグレーションなどは無く、入国してから外務省に行ってビザを発行してもらうというスタイル。

さすが未承認国家。
他の国がどうであれ己のやり方を貫き通すスタイル、俺は好きだ。




そしてこれが首都のステパナケート。
こんなに自然豊かな場所が首都だとは。すんばらしい。


街を散策しているとやはり外国人が珍しいらしく、熱い視線を集める。



気づくと子供達の群れを引き連れながら歩いている。

どこの国へ行っても子どもを手懐けるのは容易い。
俺の天職はきっと幼稚園の先生だろう。


そしてこの国1番の観光名所、タティック・パピックへ。
何度でも言いたくなる名前だ。

日本語名は「我らの山」。
独立したい意思がすごい伝わるいい名前だ。

そしてこれが、我らの山だ!!!!



ナゴルノ=カラバフ.....










お前最高だよ!!!

こんなセンスあるモアイ初めてみたぞ!
本家に負けてないよ!



たとえ世界中で誰一人お前のことを国と認めなかったとしても、
俺はお前を国として認めるよ。


街へ戻って行く俺の後ろ姿を、彼はその優しい笑顔でいつまでも見送ってくれていた。




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【Day44】総額870円のヒッチハイク越境旅

2018年5月24日
4カ国目:【アルメニア】ゴリス

アルメニア
ここはヨーロッパといっていいのかすんごくきわどい。
実際はコーカサス地方というポケモンに出てきそうな地名をしている。

まずこの国へ来て思ったこと、
それは
露出が激しい。
国境を超えると同時に前にいた女性が、頭に被っていたヒジャブをおもむろに脱いだ。

道行く女性達がタンクトップを着ている。
俺はどこに目を向ければいいのか分からず、チラ見が止まらない。

イランはイスラム教国家なので女性は肌を見せてはいけないのだが、ここアルメニアは世界で初めてキリスト教を国教とした国だ。
なのでイランのように服装に関する制限がなく、女性達は各々の着たい服を着ている。


国境。どっかの誰かが人為的に引いただけの線。
それなのに一歩その線をまたいだだけでこんなに世界が変わるとは不思議なもんだ。



とりあえず国境からはヒッチハイクできそうにないので、1番近くの町メグリまでタクシーで行く。1000ドラム(約230円)。

ここからヒッチハイク再開。

するとすぐに一台の車が止まる。
3人家族のファミリーカーだ。


「どこまで行きたいんだ?」

「ゴリスまで行きたいっすー!」

「20000ドラムだな(約4500円)」


そんな金あったらこんなとこで、汚いホームレスに絡まれながらヒッチハイクなんてしてないよ。

ということで丁重にお断り。


また歩き始める。
するとスーパーの前にたむろしているおじさん達に呼ばれる。

「どこまで行きたいんだ?」

「ゴリス行こうと思っとります。」

「その途中のカパンまでなら乗せてってやるよ!」

「いくらですか?」

「金なんていらないよ!俺たちブラザーじゃねーか!」

「あざっす!!!」

「あと3時間後くらいに仕事おわるからそれまでまっててな。」

「......。」


渋い。
これではきっと今日中にゴリスまではたどり着けないだろう。

それになんだかここで乗ってしまうとちょろすぎる。
俺はもっと冒険がしたいんだ!


ということで、
俺の親より年上に見える金杉家の隠し子のお誘いも断り、また歩き始める。


その数分後、また一台の車が止まり、無料でカパンまで行ってくれるというので乗り込み無事カパンの町に到着。
時刻は午後4時。

まだ行ける。

次はゴリスだ!


カパンの町でヒッチハイク開始15分後、ゴリスまで行くというおじさん達に乗せてもらい出発。



この人達。
こう見えてなかなかクレイジー

乗り込んで気付いた。


「銃持ってんじゃん!」


カツアゲされたら詰むな〜と思い、恐る恐るなんで持ってるのか聞いてみた。


「護身用だよ!」


強盗じゃなさそうでよかった。



ただこんな山道で、対向車の運転が荒かったりすると

「Fuckin’ Fursi!!!!!」

とか言って簡単に銃を向ける。
笑えないってそれ笑


2時間ほどして無事ゴリスの街へ到着。
総額870円でここまで来れるとは上出来だ。
ロシア語話せない俺を乗せてくれたみんなありがとう。


露出の激しい巨乳の姉ちゃんをチラ見しながら俺は、旧ソ連風の荒廃した夜の闇に溶け込んで行った。




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【Day44】度を過ぎた優しさ

2018年5月24日
3カ国目:【イラン】タブリーズ

朝、パッキングをして宿を出る準備をする。
全ての荷物をバックパックに詰め、アルメニアへのルートを調べる。
久しぶりの陸路国境越えに、ワクワクする。
全身の毛が逆立つような感覚。

この感覚はすごく表現しにくいのだが、ジブリのキャラクターがびっくりした時みたいな感じだ。


というのも昨日からイランのタブリーズにいるのだが、ここからアルメニアへのルートの情報があまりない。

1番簡単なのは、国際バスを使ってアルメニアの首都エレバンまで行く方法なのだが、値段がすこぶる高い。
調べたところ、約60ドルするらしい。

イランで想像以上に散財したあげく、唯一の収入源であるウクレレを無くした俺には到底払えない。
ということで別ルートをチョイス。


それは乗り合いタクシーとヒッチハイクコースだ。


まずジョルファーまで乗り合いタクシーで行き、そこで国境の町ノルドス行きの乗り合いタクシーに乗り換える。そしてアルメニアに入国しヒッチハイクする。

バスで楽するより面白そうじゃん!


てことでレッツゴー。

まずは宿から乗り合いタクシーが集まるアゼルバイジャンスクエアまでタクシー70000リアル(約200円)。
そっから乗り合いタクシーでジョルファーへ150000リアル(約440円)。



世界の車窓から

次にノルドス行きの乗り合いタクシーを探しまわるも、そんなのないと言われる。
タクシーの運転手に聞いてもラチがあかないので、その辺のホテルで聞いてみるが、結果は同じ。

「あなた以外行く人いないわよ。」

これは非常にまずい。
一人でタクシーを払うとなると値切りに値切って400000リアル(約1200円)。
破産しちまう。

仕方ねえ。こっからヒッチハイク始めるか。
久しぶりに腕がなるぜ。

でっかいリュックを背負い親指を天に向けながら車道を歩く。
これならどっからどう見てもヒッチハイカーと分かるだろ。

そして開始3分ほどで一台の車が止まる。

「きたー!!!!!」

歓喜し、車へ走り寄る。

「ロシア語話せるか?」

「いや英語しか話せないっす」

「じゃあ無理だ」

なぜ最初の質問がそれなんだ。
目的地を先に聞いてくれ。

テストに落ちた気分でヒッチハイクを再開しようとしたその時、
警察登場!

「パスポート出して」

めんどくせぇぇぇ。職質始まっちゃったよ。

「こんなとこで何してるの?」

「いやヒッチハイクでノルドス行こうと思ってまして...。」

「そうか。まあ車に乗りなさい。」

「これは警察署コースですか?」

「まあ乗りなさい。」

俺は警察が苦手なのでとりあえず言われた通りパトカーに乗り込む。
そして10分ほどで路肩に停車。


「ここの道を通る車はだいたいノルドス行くからここでやったほうがいい。」

そしてさらに手伝ってくれちゃう始末。



警察が路上でヒッチハイクしたら通る車が全部止まる止まる。
それでドライバーに話までつけてくれた。
ありがたや〜

このドライバーとは10分くらい行った所の検問所でバイバイ。



今度は警備員さん達が代わりにヒッチハイクしてくれた笑

イランの人みんな優しさが度を過ぎてんだよな笑

そして2台目はトラック!



いやー言葉通じないね笑
そして無事、ノルドスへ到着。

さーてアルメニア行くか!!


3週間滞在したイスラム教国家イラン。
こんな俺に深い愛情を持って接してくれたイランの人達に感謝しつつ俺は、少し先に見える見慣れない国旗に向かって歩み始めた。




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【Day42】旅への渇望

2018年5月22日
3カ国目:【イラン】ラシュト

久しぶりにドミトリーではなくシングルルームに泊まっていたため、(ドミが無かった)周りから干渉されることなく目を覚ます。

今日の夜ラシュトを発ち、タブリーズへ向かう。
イスファハーンに長居した後遺症か、放浪熱に侵されたようだ。

宿代を浮かすため、今回も夜行バスで移動する。
それまで時間があったので、ラシュトから60kmほどの場所にあるマースレー村へ行くことにした。

この村では屋根の上を歩けるらしい。
屋根の上を歩きたい一心でいつものようにネットで情報を探すがあまりない。

そこで宿の主人に聞き込み開始。
しかし彼はほぼ英語を話せないので、ペルシャ語ジェスチャーで教えてくれた。
俺がかろうじて聞き取れた情報は以下だ。

・バスはないので乗り合いタクシーで行く
・乗り合いタクシーを2回乗り換える必要がある
・時間は2時間くらい
・大まかな値段


さて冒険開始だ。
まず宿の前の広場に行き、井戸端会議に花を咲かせるおっちゃん達に話かける。
ここでも英語は通じないので、乗り換え地点の町の名前「フマン」と連呼する。
すると彼らは理解し、自分の車に誘導し始める。
そこで値段を聞くと、法外な数字を言ってくる。
つまりこのおっちゃん達は乗り合いタクシーじゃなく個人タクシーの運ちゃんだということが分かる。

こんなことを何回か繰り返し、乗り合いタクシーの運ちゃん達の集団を見つける。

どうやらフマンへ行くにはその手前の乗り合いタクシーターミナルで一回乗り換える必要があるらしい。

ふふふ、ちょろいぜ。
俺はそこで乗り換え、難なくフマンへ到着。

次にフマンからマースレー村へ行くための乗り合いタクシーターミナルを探した。

行く人はぜひ気をつけてほしい。
フマンの町の中心から乗合タクシーターミナルは1〜2km離れている。

俺は見つけるのに苦労した。

そしてどうにかターミナルについたのだがタクシーを待っていたのは俺のほかに一人。
乗り合いタクシーは人数が揃わないと出発しないという特性を持っているので、あと2人来るのを待つしかない。

しかし誰も来ない。

仕方なく倍の金額を払い出発。

山道をゆく。

この感じが楽しい。情報を自分で集めながら進んで行く。
誰を信用すればいいのか、全ては自分の嗅覚にかかっている。

そして2時間かかってようやく着いた。
ここがマースレー村だ。



山肌に無理やり家を建てた感じ。
そんで道を作るのがめんどくさかったから下の家の屋根を道にしちゃったんだね。



隙間が多くてちょっと危ない。
パルクールの聖地だな。



ゴッドファーザーでマイケルがソロッツォと警部殺した後に疎開したコルリオーネ村を思い出す。



見知らぬイラン人とともに。
写真撮る前までめっちゃ笑ってたのに、撮るときは必ずキメ顔する。
イラン人あるある。


村を1時間ほど散策し、仲良くなったイラン人達に昼飯をおごってもらった。
ラマダン(断食月)中なんだけどやっぱみんな食べてるんだな笑

昼飯後また散策して、屋根の上を飽きるまで歩いた。
普通の人が歩く一生分は歩いただろう。

その後ラシュトのバスターミナルで、失踪したウクレレを探すが見つからず。

まあ仕方ない。
来るもの拒まず、去る者追わずだ。

それよりも俺の頭の中には
「早く次の国へ行きたい。」
それだけだった。

バス会社のおっちゃん達にもらったチャイを飲みながら、溢れ出る旅への渇望を抑えきれない俺は、ソワソワ、ソワソワと壁に掛けられた時計を気にしていた。




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【Day41】カスピ海沿岸

2018年5月21日
3カ国目:【イラン】ラシュト

早朝、爽やかとは程遠い面持ちでバスを降りる。

どうしてもあと1日だけいてほしいという元彼女の願いを聞き入れ、昨日イスファハーンで最後の別れを告げた。

彼女とは昨日ほぼ一日中一緒にいた。

やっぱり心まで美しい人だった。

彼女からは「愛」というものについて全て教えてもらった気がする。
俺もいつか彼女のように愛を与えられる人間になりたいものだ。


そんな感じでしんみりしていたのと、朝寝起きだったのでバスの中にウクレレを忘れるという大失態を犯した。
気付いたときにはバスは何処へ...。


ああ、神さま。
もう嘘つかないからウクレレ返してください。


寝起きでどんより面持ちの俺はさらにどんよりムードを身にまとい、目星をつけていたゲストハウスへチェックイン。

トマトとスクランブルエッグをさらにスクランブルしたようなオムレツ風味のおかずとバターを塗ったパン、それを角砂糖たっぷりのチャイで流し込み、旅人としての気合いを入れ直す。

さて、旅再開だ。


旅再開の初日は世界最大の湖、カスピ海へ!

ここに来た目的はただ一つ。
写真を撮るためだ。
それだけ。

というのも俺の中学の友達のLINEグループの名前が「カスピ海沿岸」なのだ。

誰が何のために付けたのかは定かではないがせっかく近くまで来たのでグループのトップ画にしようと思い、この街にやってきた。

てことで渾身の写真達をどうぞ。



これが



世界最大の湖



カスピ海だ!!!

名前の通り、海のようだ。
波が寄せては引いて、塩水で、砂浜が続いている。
幕張に引けを取らないほど海だ。

まあいろんな写真を撮った。



一人で30分以上、セルフタイマーをかけてジャンプを繰り返した。
周りからの
「変な中国人が一人ではしゃいでるよ笑」
という視線を感じながら汗だくで飛びまくった。


イランにいると歩いてるだけで後ろ指立てられるので、この程度慣れたものだ。
むしろ有名人か超絶イケメンになった気分で楽しい。


想像通りのカスピ海に、対して感動はしなかったものの、不思議と1時間もただ海岸線を見ていた。波が寄せては返すその音を聴きながら俺は、見るともなく見続けていた。



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【Day39】美女と野獣

2018年5月19日
3カ国目:【イラン】イスファハーン


昨日の夜、彼女に電話して俺の気持ちを全て伝えた。

ここだけの話、俺も彼女のことが好きだった。

温度差に耐えられなかっただけだ。


ただ少しでもそんなことを伝えると、彼女に淡い希望を持たせることになるだろう。
俺は最低のクズになりきる覚悟を決めた。
今まで言ってきた言葉は全部嘘だと言おう。


「私も一緒にトルコに行きたい。」

「いやそれは無理だわ。」

「なんで?」

「俺は一人で旅がしたいんだ。一緒には行けない。」

「なんでよ?」

「こんなこと言いたくないけど、俺、君のこと好きじゃないんだ。」

「昨日までは好きって言ってくれたのに、どうして?嘘ついてたの?」

「ああ、全部嘘だよ。昨日言ったことも、これまで言ってきたことも。」

「どうして嘘なんかついてたの?」

「君を傷つけたくなかったんだ。俺が本心を言ったら傷つくだろ。だから言いたくなかった。」

「嘘つきは嫌いって言ったの覚えてる?だから嘘つかないでって言ったよね。それなのにずっと私に嘘ついてたのね。」

彼女は言った。

「知ってる?あなたは獣よ。私ずっとテストしてたの。昨日も私じゃなくて、道端で会った家族を優先したでしょ。その前もエブリン(何回か一緒に遊んだスイス人の女性)がアイス食べたいって言った時、私を置いてアイス食べに行ったよね。
だから気付いてたの。あなたの性格。あなたはクズよ。そして嘘つきの獣。」

「ああそうだね。俺は獣だよ。今までずっと嘘ついてきたクソ野郎だ。」

「なんで嘘なんかつくの。」

「俺クズだから。」

彼女は泣いていた。
俺だって心が痛かった。
でもこれが正解だと思う。

無理に関係を引き伸ばしたり、黙って去ったら彼女はもっと苦しむだろう。
別れた原因すら分からず自分自信を責めるかもしれない。

先週バスの中で彼女は言っていた。
「人の魂は愛を失うと死んじゃうんだよ。」
と。昨日も
「私はあなたが旅を終えてまたイランに戻ってくるのなんて待ってられない。死んじゃうわ。」
と。

俺は正直怖かった。
下手な別れ方をして彼女が自身の命を絶つんじゃないかと。

だったら俺がただのクズを演じて、彼女は悪くないってことを伝える。
クズ男に引っかかっただけで男運が無かっただけだって彼女に思わせなければ。
これが俺にできる最善の別れ方だろう。


「お願いだから正直に言って。今電話で言ったことは本心なの?それとも上手く別れるために嘘ついてるの?」

彼女は気付いてたのかもな。
でも自分で決めたことだ。貫き通さないと。

「本心だよ。俺嘘つきだから遊びで『好きだよ』『会いたい』とか適当に言ってただけだよ。」

「遊びだったのね。」

「そうだよ。ただの遊びだ。」

彼女はしばらく黙っていた。彼女のすすり泣く音だけがケータイを通して聞こえていた。
そして言った。

「あなたの気持ちは分かった。もう一緒に居てなんて言わないからひとつだけ約束して。日本に帰ったらあなたの友達にイランはいい国だって言って。世界は私たちイランのことは嫌いで、あなたみたいな嘘つきの国の方が好きなのよ。私はそれが悲しい。」

「約束する。」

「明日会いに行くわ。」

「俺はもう会いたくないんだ。」

「私は会いたいの。もう引き止めたりしないけど、あなたといるとすごく気分がいいの。」

「俺の本心を聞いただろ。それでも会いたいの?」

「それでもまだ私はあなたのことが好きだから。私の国にいる間はあなたは大切なゲストよ。イランを旅立ってもあなたの幸せをずっと祈ってる。」

俺は信じられなかった。
こんなに美しい人間がいるなんて。
そして強い。

クズを演じていたつもりだったけど、彼女に比べたら俺は本当にクズだった。
自分のことばかり優先していた。
今までの彼女への不満が全部自分に返ってきた。
最低なのは俺の方だ。


皆さんイランは本当に素晴らしい国です。
これは言われたから言ってるわけじゃない。
本心です。

イランが国際社会から嫌われてるのは政府のせいで国民のせいじゃない。
そしてトランプが核合意を抜けたおかげでイランの置かれる状況はますます悪化している。
その被害を受けるのはイラン国民だ。
なんの罪もない心優しい人達の日常が危険にさらされる。
クソ。

こうして俺の自己嫌悪と反米感情はまたすくすくと育っていく。

宿の中庭でただひたすらに黄昏ながら、無気力感と自己嫌悪で俺の心は満たされていった。




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